僕がもっと上手にできれば良かったんだけど。
君がかすんでいくんだよ。
この間までは まだ 手もつなげていたけれど
温もりも まだ 鮮明に
僕の体の中に 残っている。
二人にはいろいろあって
その一つ一つが 低温やけどのように
僕らの体に 染みついて
痛みが消えることは なかった。
僕がもっと大人で
上手にできれば良かったのだけれど
できていないことが瞬時に分かっていながらも
尚 どうしようもなかった。
だから
君が離れて行くような気が
喉の奥の方で 微かに覚悟はしていたんだ。
今思えば 君は僕にはもったいなかった。
だからこそ 本当は
誰にも とられたかないんだよ。
あの笑顔を 誰に見せるの?
あの寝顔を 誰に見せるの?
無邪気な笑い声も
おどけた表情も
大人びた 真剣な眼差しも
誰かのものになると思ったら
心が掻き毟られる。
本当は 誰にもとられたくないんだよ。
誰のものにも ならいでよ。
僕がもっと大人で
上手にできれば良かったのだけれど。
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